【教育改革による地方創生】島根県立隠岐島前高校の「島留学」

自治体名島根県隠岐郡海士町
企業・団体名一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォーム
事業分野学校教育

地域課題

少子高齢化が全国で加速している日本。「地元の高校に人が集まらない」、「若者が地元から出て行って戻ってこない」、こんな課題は全国多くの地域が抱えているのではないでしょうか。

島根県海士町は本土からフェリーでおよそ3時間の、中ノ島の自治体です。島には唯一の県立高校である、島根県立隠岐島前高校があります。かつては存続の危機を迎えていましたが、「島留学」で全国や世界各国から生徒を募集したことで生徒数はV字回復し、全国から注目を集めています。

事業内容

島前高校をまちの拠点にすべく、まず1年間かけてワークショップを行い、ビジョン作りを行いました。そして、「島全体が学校、住民も先生」と捉え、地域課題を「教材」として考えるプロジェクトをつくります。さらに、子ども達の「関係性の固定化」や「価値観の同質化」を防ぐために「島留学」の制度をつくりました。「島留学」は豊かな自然・文化・人とのつながりの中で、これからの未来を自ら切り拓いていく人間力も身につけて欲しいと全国から隠岐島前高校への進学を呼びかけ、主体性やリーダーシップ、自立心を育むことができると宣伝しました。

島根県教育庁はいま、その県立隠岐島前高校の取り組みを県全体に広げようとしています。島根県は高校教育に「高校を核とした地方創生」というロジックを2011年から取り入れました。高校と地域をつなぎ、高校の魅力を増すことで、地域留学も含め人が集まる。地域課題を教材とすることで地域への肯定感も高まり、地域人材も増えていくという考え方です。地域から高校生が卒業して外に出ていくことはしょうがないと考えていた県立高校の教員に、地方創生という視点から「どうしたら地元の生徒が一度外に出ても将来も関わり続けてくれるだろうか」「どうしたら県外から生徒が島根県で学んでみたいと思ってくれるだろうか」ということを考えてもらう仕組みを導入したのです。

事業成果

こうした取り組みにより、生徒の数はV字回復し、「この地域で学ばせたい」と移住してくる家族も生まれました。また、卒業生のUターン率も徐々に高まってきているということです。ここまでだと、島根県海士町の高校を核とした、全国の地方創生の良い事例のひとつにすぎませんが、実はこの事例は島根県全体に、そして全国に広がっています。

地方創生というロジックを取り入れたことで、これまでの教育現場と地域の溝を乗り越えようとしているのです。さらに、高校生を主役とした地方創生の取り組みは全国に広がりをみせています。全国の高校に「地域みらい留学」する仕組みを作っており、この仕組みに参画している高校は全国に90校以上あります。

参考資料