2011年に日本は人口減少社会に突入しました。時同じくして東日本大震災が発災しました。
この時を境目に、多くの現代的な課題が顕在化してきています。

例えば、空き家問題。
人口が増大する高度成長期には、民間の住宅供給が追いつかず、行政が率先して住宅を建設し県営住宅や市営住宅を展開してきました。しかし今では、公営住宅は福祉住宅化しつつあり、地域に増える空き家・空き地に頭を悩ますようになりました。
例えば、認知症高齢者の見守り問題。
昔ながらの地域コミュニティーが存在していれば(あるいは大家族制度が存続していれば)、こうした問題が顕在化することはありませんでした。けれども無縁社会と呼ばれる現状で、一人暮らし認知症高齢者の生活を支える役割を行政に求められるようになりました。

このような課題に対して、行政だけにその解決を依存することはできない状況です。財源不足・人材不足・ノウハウ不足の三重苦に行政は立たされているからです。
一方テクノロジーの発展を背景に、民間のサービスやソリューション、プロダクトの中には、それらの地域課題の解決に資するものが湧出していきています。民間にとっては、これらの課題解決にあたることが、そのままビジネスのシーズやニーズに育つこともわかってきました。

しかし、なかなか行政と民間の連携がうまく進みません。
それは両者の間にある違いが(時間の流れ方、言葉の使い方、仕事の向き合い方など)、高い壁となって立ちはだかるからです。
そうした壁を越えるために「社会課題解決のための政治行政との関係構築の手法(GR:ガバメント・リレーションズ、Government Relations)」の必要性が高まってきています。

そこで私たちは2020年1月に、このGRの必要性を「広めること」、GRの成功事例や失敗事例を「学べること」、GRプレーヤー同士がセクターを超えて「繋がれること」を目的に日本GR協会を設立しました。この目的達成のために、GRサミット/GRアワード、GR勉強会、GR人材育成ゼミ、会員の皆さまとのネットワーキングなどを積み重ねていきたいと思っています。