【持続可能なまちづくり】ゼロ・ウェイストタウン上勝の取組

自治体名徳島県上勝町
企業・団体名株式会社スペック、株式会社 BIG EYE COMPANY
事業分野環境

地域課題

上勝町では、環境・ごみに関する課題に取り組んでいます。近年あらゆるメディアで「SDGs(持続可能な開発目標)」などの環境への配慮に関する取組をよく耳にするようになりましたが、徳島県上勝町では2003年から「ゼロ・ウェイスト」という取組を進めています。「ゼロ・ウェイスト」とは、無駄・浪費・ごみをなくそうという運動のことを指しており、上勝町では町内から出る焼却・埋立てごみをゼロにすることなどを目標に宣言を行っており、上勝町は世界最先端の環境政策として海外からもマスコミや視察者が来るほど注目を集めています。

事業内容

上勝町ではごみの収集車が走っておらず、町の中心部にあるゼロウェイストセンターに住民がごみを直接持ち込んで捨てています。捨てる際の分別も細かく丁寧に行うことで、ごみの処理費が安くなるだけでなく資源としてリサイクルしやすくすることができます。2001年に35項目だった分別の種類は、現在なんと45項目。非常に手間のかかるごみの分別ですが、町民一人一人が「ゼロ・ウェイスト」の考え方を理解し、上勝町の取組に貢献しています。「上勝町の暮らしに関するアンケート調査(平成29年実施)」によると、ごみを自ら持ち込み分別すること(ごみステーションに対する満足度)に対して「かなり満足」と「やや満足」が合わせて86%となっています。町民の多くが、ごみ捨てやごみステーションは上勝町や自分にとって“なくてはならないもの”になっているそうです。また、処理が大変な「生ごみ」については、各家庭に置かれる家庭用電動生ごみ処理機で処理・堆肥化をしています。電動生ごみ処理機の費用については、処理機自体の価格はおよそ5,6万円ですが、自己負担1万円以外の費用は町が補助しています。

リサイクルだけでなく、リユースの取組も盛んに行われており、いらなくなったものを譲る・売るといった取組も実施されています。衣類や食器類など、町民が各家庭で不要になったものを持ち込める「くるくるショップ」では、町民だけでなく町外から来た方が欲しいものを持ち帰りできるようになっています。年間で約5トンのものが持ち込まれ、持ち帰りも同じくらいの量となっており、ごみとなってしまう可能性が高い資源を有効にリユースすることができています。その他にも、町内の店舗でレジ袋をもらわないなどの環境にやさしい活動に貢献した方にポイントを付与し、ポイント数に応じて環境に配慮した日用品などと交換することができる取組なども実施しています。

また、上勝町の「ゼロ・ウェイスト」は町のブランディングにも繋がっているそうです。環境に配慮した地場産品や、ごみ分別体験などを通して上勝町の暮らしを体感できる宿泊施設など、ゼロ・ウェイストをコンセプトとしたコンテンツを増やして町のブランドを高めることにより、人口減少などの町の課題解決や経済効果に繋げています。民間の視点からすると利益が得られない事業への投資は躊躇してしまいますが、上勝町の「ゼロ・ウェイスト」の取組への共感によって多くの企業や団体との連携が実現し、こういった新しい事業が次々と生まれているそうです。

事業成果

上勝町は2003年に自治体として日本で初めて「ゼロ・ウェイスト宣言」を行った町として知られています。「ゼロ・ウェイスト」とは、無駄・浪費・ごみをなくそうという運動のことを指しており、上勝町では町内から出る焼却・埋立てごみをゼロにすることなどを目標に宣言を行いました。実際に現在の上勝町のごみ処理統計におけるリサイクル率は約80%に達しており、日本全国の平均約20%と比べると遥かに高い数値となっています。

上勝町は2020年に2回目のゼロ・ウェイスト宣言を行いました。ゼロ・ウェイストの先駆者として「未来のこどもたちの暮らす環境を自分の事として考え、行動できる人づくり」を実現することを2030年までの重点目標としており、これからの未来を見据えた宣言になっています。環境問題に取り組みながら暮らしを豊かにしていくために、民間企業・団体・大学・研究機関などとのパートナーシップをもっと強めています。また、現在もまだリサイクルできていない残りの20%のごみを減らしていくには、分別や処理の方法のみならず生産者と消費者の意識を変えていくことが必要だといいます。そのため、ゼロ・ウェイストや環境問題について学べる仕組みを作り、上勝町の取組を一つのヒントにして環境問題を若者に考えてもらうことで、新しい時代のリーダーを輩出することを目指しています。

参考資料