メールマガジンVol.9

■目次
■■地方自治体における「議会と首長の理想の関係」は?
■■地方創生の文字が消える? 高市政権の「地方」の扱いについては次号にて


■■地方自治体における「議会と首長の理想の関係」は?
前回のメルマガでは、問責・辞職勧告・不信任の決議のうち、どれが一番重いのかをご紹介しました。
いずれの決議であっても、議会と首長の関係がギクシャクしていることの表れである点は共通しています。一方で、「議会と首長の『理想』の関係」は、立場によって大きく異なります。
私自身は、議会と首長の間に余計なコンフリクトがない状態(ここでは「平穏状態」と呼びます)を理想と考えています。実行したい具体的な政策がある立場(かつてそういう立場でした)からすれば、エネルギーを対立に費やすよりも、前に進めることに集中したいからです。
一方で、首長を追い落とそうとしている議員の立場や、議会と戦う姿勢をアピールして支持を得ようとする首長の立場からは、にとっては、「議会のたびにゴタゴタが続き報道などの注目を集める状態」(ここでは「紛争状態」と呼びます)のほうが理想でしょう。また、「議員が何やってるかわからない! 議会で発言もしない議員はいても意味がない!」という市民にとっては、「平穏状態」よりも「紛争状態」の方が健全に映ることもあります。逆に、議会対応を担う幹部職員にとっては、コミュニケーションコストの高い「紛争状態」よりも「平穏状態」のほうが望ましいのは言うまでもありません。
このように理想像は立場によって異なりますが、議会と首長の関係は、政治状況による例外はあるものの、多くの場合、首長側の姿勢によって大きく左右されます。その前提で、首長と議会の関係を左右する首長の姿勢を分析するための新しいツールをご用意いたしました。

・首長の当選時に多数議員の応援「あり(与)」・「なし(野)」
・合意形成のスタイルが「議会重視(議)」・「スピード重視(S)」
・自身の意志や政策を「貫徹する(貫)」・「妥協できる(妥)」
・市民世論の支持が「ある(Y)」・「ない(N)」

MBTIという性格分析が流行っていますが、いわば、対議会関係における“首長版MBTI”です。組み合わせれば16通りのタイプが浮かび上がります。
例えば、前伊東市長は推測するに「野・S・貫・N」タイプであったため、不信任決議に至ったと分析できます。仮に市民支持が強ければ「野・S・貫・Y」タイプとなり、辞職勧告にとどまった可能性もあるでしょう。ちなみに、私が理想とするのは「与・S・貫・Y」タイプですが、現実にはなかなか成立しにくいのも事実です(苦笑)。一方で危機感なくジリ貧で、茹でガエル状態となっている地方都市の首長は「与・議・妥・Y」タイプが多いように見受けられますが、その自治体の行末は不安になります。
議会を重視すれば与党化する可能性はありますが、政策の貫徹は難しくなります。妥協を重ねれば、市民世論の支持が揺らぐこともあります。逆に市民世論の支持がありすぎると、議員からの嫉妬を招き野党が多くなりがちです。夏目漱石の「智に働けば角が立つ、情に棹させば流される、意地を通せば 窮屈だ。」という言葉にあるように、なかなか思惑通りにいかない首長と議会の関係は、単純ではありません。
上記の分析ツールは、あくまで私案ではありますが、この4軸分析は首長と議会の関係を読み解く一つの有効なツールになり得ると考えています。ぜひ、みなさんの自治体における首長のスタンスを見極める一助にしていただければと思います。


■■地方創生の文字が消える? 高市政権の「地方」の扱いについては次号にて
衆議院選挙の結果には大きな変化を感じた方も多いのではないでしょうか。さまざまな分析がここぞとばかり出回っていますが、従来のフレームだけでは説明しきれない政治環境に入っていることは確かなようです。
さて、選挙や政局の詳細分析は別の方々にお任せするとして、私が注目しているのは、高市政権(あるいはご本人)が、「地方創生」という言葉をほとんど使わない点です。言葉が変わるということは、優先順位や政策設計の枠組みが変わる可能性を意味します。GRの観点から見たとき、この変化にどのように向き合うべきか、次号でお伝えできればと思います。