メールマガジンVol.10
■目次
■■なぜ今「信頼の再構築」なのか? 第7回日本GRサミット開催(4/4渋谷)
■■地方創生の文字が消える? 高市政権は「地方」をどう扱うのか
■■なぜ今「信頼の再構築」なのか? 第7回日本GRサミット開催(4/4渋谷)
人口減少、財政制約、担い手不足、そして社会の分断。いま私たちの社会で起きている多くの問題は、制度や政策の問題というより「信頼」の問題ではないでしょうか。行政への不信、政治への不信、企業への不信、メディアへの不信。こうした時代において社会課題を前に進めるために必要なのは、立場や利害の異なる主体同士が関係を築き、対話と合意形成を設計していく力です。その実践的な方法論として私たちが提唱してきたのがGR(Government Relations)です。GRとは単なるロビー活動ではなく、政策形成から実装までを見据え、政治・行政・企業・市民社会をつなぐ社会課題解決のアプローチです。第7回日本GRサミットでは「信頼の再構築」をテーマに、Rule Change(ルール・チェンジ)、Deal Make(ディール・メイク)、Appeal to Public(アピール・トゥ・パブリック)というGRの三つの実践領域から議論します。当日は長野県の阿部守一知事、千葉県の熊谷俊人知事、品川区の森澤恭子区長、豊島区の高際みゆき区長、作家の乙武洋匡さん、ジャーナリストの堀潤さんなど、政治・行政・企業・ソーシャルセクターの第一線のプレーヤーが登壇します。また地域課題解決の優れた実践を表彰する「GR官民連携アワード」の発表と受賞者セッションも開催します。GRを学びたい方、実践している方、これから挑戦したい方が集まり、つながる一日です。席数には限りがありますので、ご関心のある方はぜひお早めにお申し込みください。
*第7回日本GRサミット:https://graj.org/summit2026/
*日時:4月4日(土) 11時00分〜17時30分
(終了後、隣接会場にてアフターパーティーを開催)
*場所:渋谷QWS スクランブルホール
東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア15階
*参加費:1100円(サンドイッチ・コーヒー付き)※150人まで
:11000円(サミット・アフターパーティー参加)※50人まで
*申込み:Peatixサイトから( URL:https://grsummit2026.peatix.com/ )
■■地方創生の文字が消える? 高市政権は「地方」をどう扱うのか
高市政権の政策メッセージを見ていて、気になっていることがあります。それは、「地方創生」という言葉の扱いです。
2025年10月24日、政権発足直後に行われた所信表明演説では、「地方創生」という言葉が一度も使われませんでした。2014年の安倍政権以降、日本の地域政策の中心概念として使われ続けてきた言葉が、首相演説から消えたことになります。
代わりに登場したのが、「地域未来戦略」という言葉です。政府の司令塔組織も、石破政権時代の「新しい地方経済・生活環境創生本部」から「地域未来戦略本部」へと改称されました。政策の看板が、静かに付け替えられている印象があります。
一方で、制度としての地方創生が完全に終わったわけではありません。2025年12月23日には、次の5年間の地方創生政策の柱となる総合戦略が閣議決定されました。つまり、政策の枠組み自体は継続されています。
そして、2026年2月20日、衆議院選挙後の施政方針演説では、「地方創生」という言葉が一度だけ登場します。
ただし、その使われ方は少し象徴的でした。
「地域未来戦略を推進する。その際、これまでの地方創生の支援策や税制などの政策ツールを活用する」
つまり、「地方創生」は政策の理念ではなく、既存の政策パッケージを指す言葉として登場しているのです。主役はあくまで「地域未来戦略」となったわけです。
もう一つ、見逃せない変化があります。今回の総合戦略では、これまで地方創生の象徴的な目標だった「東京一極集中の是正」が、主要な目的から外れました。代わりに前面に出てきたのが、「成長」です。具体的には、地方の就業者一人あたりの労働生産性の伸び率を、2029年までに東京圏より高くすることが重点目標として掲げられています。
この変化をどう見るべきでしょうか。
私は、地方のトリアージ(選別)が静かに始まったのではないかと感じています。
もちろん、これまでも地方創生の世界では、「やる気のある地域を支援する」という考え方がありました。KPIを設定し、事業の成果を評価する仕組みも導入されてきました。
しかし今回は、その基準がより明確になっています。焦点は、「成長のエンジン」、とりわけ労働生産性です。つまり、国としては、成長エンジンになり得る地域に重点的に資源を配分する。その分野については地方ではなく国が決める。成長しない地域については政策の位置づけを見直していく・・・。そうした方向に舵を切ろうとしているように見えます。
一方で「トリアージ」と書くと刺激的に聞こえるかもしれません。しかし、これは単なる切り捨てではなく、むしろ、日本全体が人口減少という大きな構造変化に直面する中で、国としてどこにエンジンを置くのかを考える、戦略的な再配置と見るべきなのかもしれません。
人口が減る国で、すべての地域を同じ形で維持することはできません。だからこそ、どこにエンジンを置くのかを決める必要がある。これに声高に反論することは難しくなりました。
ただ、沈みゆく船のエンジンは、ひとつでは足りないはずです。そして、多気筒でなければ、前には進めないはずです。多くの地域が(小さいかったとしても)推進力のあるエンジンたるべく発信・発進していく取り組みを、応援していきたいと思います。
