第4回 GR_官民連携アワード 最優秀賞

陸前高田市担い手創出プログラム事業

◆ 民間事業者名
認定NPO法人 SET

◆ 自治体名
岩手県陸前高田市

◆ 事業詳細ページ
http://1week.set-change-maker-program.com/

事業概要

NPO法人SETは、2011年の東日本大震災をきっかけに誕生した団体です。
岩手県陸前高田市において、都市部の大学生を地域に呼び込み、地元住民とともに地域づくりに取り組む「Change Maker Study Program(CMSP)」を2013年より企画・運営しています。

2023年より陸前高田市との協力体制をつくり、官民連携が実現しました。
それまで市内1町のみで行っていた活動が市内5町へと広がり、大学生が多様な地域や住民と関わることができるようになりました。
現在は年2回、大学生チームが半年間にわたりフィールドワークや地域アクションを展開。
令和5〜7年度の3年間で、のべ137名の大学生スタッフと242名のプログラム参加者が活動し、5名の移住者を生み出しました。
今春さらに3名が移住予定です。

アピールポイント

本事業の核心は、「設計しすぎないこと」にあります。
大学生や地域の方々が自ら考え、自ら動くことを最大限に尊重したコーディネートがCMSPの最大の特徴です。

近年、大学生が地域と関わるプログラムは全国各地で増えています。
しかしその多くは、地域のキーパーソンに会って話を聞いたり、うまくいっている事例を「学ぶ」という受け身のスタイルに留まりがちです。
CMSPが大切にしているのは、そこから一歩踏み込んだ「自分から動いて、町の人一人に対してでも変化を起こせた」という実感です。
そのためSETは、コーディネートしすぎず、大学生の主体性を引き出しながら、うまくいかない経験も含めて寛容に受け止める姿勢を大切にしています。

大学生が地域に何度も足を運び、住民と時間をともにする中で、お互いの学びや生き方への気づきが生まれます。
大学生は自分自身の価値観を問い直し、地域の方々も若者との交流を通じて暮らしや地域への捉え方に変化が生まれます。
この双方向の変化こそが、大学生が活動終了後も地域と関わり続けるきっかけになっています。

こうした関わりの積み重ねが、40年以上途絶えていたお盆の剣舞の復活や、養殖わかめの担い手としての活動など、地域の文化・産業の継承という具体的な成果につながっています。
官民連携のもう一つの意義は、行政側の視点や動き方が変わることにあります。
SETは他地域への展開の際、行政職員向けにCMSPを体験してもらう職員研修を実施しています。
職員自身が地域への入り込み方や民間側のロジックを体感することで、従来の評価軸にとらわれない柔軟な協働が生まれ、民間の提案を活かせる土壌が育まれます。

陸前高田で培ったこのモデルは全国各地への展開も進んでおり、人口減少・担い手不足という日本共通の課題への一つの答えになり得ると考えています。

石渡 博之
認定NPO法人 SET 副理事長

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