【開催レポート】“社会課題『解決』先進国”を目指して──GRサミット2025を開催
日本は人口減少・高齢化が世界でも類を見ないスピードで進行する「社会課題先進国」として、課題解決のフロントラインに立っています。こうした背景の中、政治行政だけでなく、企業・NPO・市民社会が共に解決を担う仕組みづくりが求められています。
このような時代認識のもと、一般社団法人日本GR協会は、今年も年次イベント「GRサミット2025」を開催。GR(ガバメント・リレーションズ)を「社会課題解決のための政治行政との関係構築の手法」として捉え、その価値と実践知を共有する場として、多彩な登壇者と約170名の参加者が集いました。
今年のサミットのねらい:「GRの3領域」再確認とナレッジ共有
本年のサミットでは、GRの3つの主要領域——
- ルール・チェンジ(Rule Change)
- ディール・メイク(Deal Make)
- アピール・トゥー・パブリック(Appeal to Public)
の全体像を捉え直す構成としました。
加えて、昨年度より公募を開始した「GR_官民連携アワード」の受賞事例を通じて、現場で実際に行われている社会課題解決の先進事例を紹介。登壇者と参加者が業種・立場を超えて交わるネットワーキングの場としても、活発な意見交換がなされました。
セッションA:社会を動かす提言力 〜政策形成への新たなアプローチ〜
開会セッションでは、代表理事の吉田雄人の開会挨拶に続き、GRの定義と意義について解説。続くパネルディスカッションには、石山アンジュ氏(一般社団法人Public Meets Innovation代表)黒田岳士氏(GR Japan株式会社)、鈴木康友氏(静岡県知事)、小野寺 浩太氏(株式会社 Next Relation 代表取締役CEO、モデレーター)が登壇し、「ルールチェンジによる社会課題解決」をテーマに意見を交わしました。
ライドシェアの実装例、SNSを活用した政策形成、企業における企業のガバメントリレーションズの重要性など、まさに“制度を変えることで社会を変える”取り組みが具体例と共に紹介されました。
GRアワード2025:社会にインパクトを与えた官民連携を表彰
3回目の開催となる「GRアワード2025」では、初の公募形式で全国から事例が集まり、最優秀賞には熊本県合志市の「合志市クリエイター塾」が選出。地域に根ざした人材育成の挑戦が高く評価されました。
優秀賞には以下の3事例が選出:
- ブックオフグループホールディングスの「ふるさとブックオフ」
- 株式会社笑下村塾の「高校生リバースメンター」
- 奈良県磯城郡3町の「シェアサイクル事業」
いずれも、“目的達成力”“三方よし”“挑戦度”といった審査基準を高い次元で満たし、他地域への波及可能性も感じさせる内容でした。
アワードセッションでは、柳井研氏(一般社団法人地元サイコゥ育成機構)による最優秀アワード事例の紹介と、優秀賞を受賞した小金井真吾氏(株式会社BOチャンス代表取締役)、たかまつなな氏(株式会社笑下村塾 代表)、田辺一城氏(古賀市長)、森田浩司氏(三宅町長)、今井恭子(一般社団法人日本GR協会 チーフGRオフィサー、モデレーター)で官民連携の展望について議論するセッションを実施しました。
セッションB:官民連携で社会課題を解決! その方法論の確立に向けて
続くセッションでは、荒木義行氏(合志市長)、三浦美樹氏(一般社団法人 日本承継寄付協会 代表理事)、山本一太氏(群馬県知事)、吉田雄人(一般社団法人日本GR協会 代表理事、モデレーター)が登壇。がんなどの病気を判別する「探知犬」プロジェクトや、遺贈による社会投資など、規模も内容も多様なディール・メイク事例が語られました。
民間との信頼関係構築、資金の流れの設計、長期ビジョンと実装力——あらゆる官民連携プロジェクトに通じる重要な示唆が詰まったセッションでした。
セッションC:Z世代と考える社会のカタチ 〜共感と議論を生む世論づくり〜
最終セッションでは、若者の声を社会に届けるための“世論形成の技法”に焦点を当て、Z世代のパネリストが登壇。登壇したのは、小川知也氏(鳩山町長)、秀島知永子氏(一般社団法人日本若者協議会 理事)、吉野裕斗氏(日進市議会議員)、櫻井彩乃氏(一般社団法人GENCOURAGE 代表理事、モデレーター)ら。
情報収集、政策提言、共感形成までをSNSで展開する彼らの実践は、今後のGRに不可欠な視点として、多くの参加者に新たな気づきを与えました。
終わりに:ルール・案件づくりに私も参加したいと思える社会をつくる
GRサミット2025は、政治・行政だけに頼らない社会課題解決の可能性を可視化する場となりました。制度を変える、協働を生み出す、共感を広げる——それらを担うのは、今まさにこのレポートを読んでいる皆さん一人ひとりかもしれません。
今後、ひとつひとつのセッションの記事を公開します。社会課題解決や官民連携に興味ある方はフォローお願いします!
一般社団法人日本GR協会では、プロボノスタッフを募集しています。協会の大半がプロボノスタッフで、コンサルタント、PRパーソン、自治体職員、政治家など様々な強みを持つメンバーから構成されています。興味ある方は、GR協会のホームページからお問い合わせください。
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