官民連携なしにワークダイバーシティなし!働く喜びをかみしめることができる街を目指す岐阜市長の挑戦

突然ですが官民連携というと、皆さんはどのような事業をイメージしますか?デジタルトランスフォーメーションやカーボンニュートラル、スタートアップ支援など、社会変革のトレンドのど真ん中にあり、行政だけでは解決が難しいものを思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。

「私たちはワークダイバーシティに官民連携で取り組んでいます」こう話す首長がいます。 岐阜市の柴橋 正直市長です。UFJ銀行、衆議院議員を経て、2018年2月に岐阜市長に就任し現在2期目です。

岐阜市 柴橋正直市長

ワークダイバーシティ??労働の多様性???具体的にはどういうことでしょうか?柴橋市長によると、「誰もが働く喜びをかみしめることができるまちづくり」だということです。

人口約40万人の岐阜市。岐阜県の県庁所在地であり、名古屋まで電車で20~30分という交通の便の良さもありながら、生産年齢人口は市長が就任して約5万人減少しているといいます。「オール岐阜市でないと持続可能な岐阜市はつくれません」。柴橋市長は語ります。その柴橋市長が取り組んでいるのが、働きづらさや生きづらさを持つ人たちが自分らしく働ける街づくり。皆が幸せを実感できるためには、安心安全な居場所をつくり、持てる力を発揮できる出番を用意してあげること、つまり働くことを土台としたまちづくりが必要だと言います。

障がいを持つ方の場合、障害者総合支援法に基づいた就労支援を受けることができます。しかし、例えば不登校が続き成人年齢になっても引きこもりの市民が働きたいと思っても行政の支援を受けることは困難です。引きこもり状態の方の93%が20代~60代と大半が生産年齢人口にあたり、社会にとっても大きな損失と言えます。こういった方々を社会から支えられる側から支える側に後押ししていく取り組みを岐阜市は始めています。それがWORK!DIVERSITY実証化モデル事業です。障害者総合支援法の支援対象とならない働きづらさを抱えている方々に、同法の就労移行支援事業所と同じような支援を受けられる実証事業を民間と行っています。

相談やカウンセリングを民間の中間支援事業者に委託し、就労移行支援事業所とのマッチングも行ってもらいます。今年度始まったばかりの事業ですが、すでに問い合わせがあり、就労移行支援の利用も始まっているということです。今後更に潜在的対象者にアプローチし、年間20名の利用を目標とします。このプロジェクトを推進するのは、福祉関連の部門ではなく、経済部。地域の企業にワークダイバーシティを呼びかけていくことで地域の認識変容にも力を入れています。

柴橋市長はこう語ります。

「日本中で同じ問題が起きています。国の障害者総合支援法と同じような形で働きづらさ生きづらさの問題を抱えている方の就労支援、訓練の機会を国のほうできちんと制度設計していただいて法律に基づいた財政支援も含めて全国で展開できると、この問題が解決していくのではないかと思います。それをまず岐阜で事例をつくって国に働き掛けていきたい」

「地方自治体はプラットフォームビルダーになれとよく言われます。自治体だけで課題を抱え込まずに民間の力を引き出して発揮させる時代です。行政マンが決まったことをやる時代から、クリエイティブに民間の力を引き出していく時代になってきていると思います」

今回のGR勉強会には中間支援事業者の代表(一般社団法人サステイナブル・サポート 代表理事 後藤千絵)も招き、このようなプロジェクトを推進する際の官民双方の心構えについても伺います。モデレーターは日本GR協会代表理事の吉田雄人(元横須賀市長)。人は「ありがとう」と感謝されることで自分の居場所と存在感を確認して自己肯定感が増す。支えられる立場から支える立場へのトランスフォーメーションに力を入れる柴橋市長に感動した吉田が「ありがとう」を連発する勉強会でもありました。

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